| (患者の権利法をつくる会訳) |
| ヨーロッパにおける患者の権利に関する宣言 |
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| 患者の権利に関するヨーロッパ会議 |
| 1994年3月28日〜30日 於アムステルダム |
| 世界保健機関 ヨーロッパ地域事務所 |
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| 目 次 |
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| ヨーロッパにおける患者の |
| 権利の諸原則:共通の体系 |
| はじめに |
| 1. |
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背景 |
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指導原理 |
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この文書の目的 |
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権利の実現 |
| 2. |
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目的 |
| 3. |
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基本理念 |
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| 患者の権利 |
| 1. |
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保健医療における人権と価値 |
| 2. |
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情報 |
| 3. |
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コンセント |
| 4. |
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秘密保持とプライバシー |
| 5. |
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ケアと治療 |
| 6. |
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適用 |
| 7. |
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定義 |
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| ヨーロッパにおける患者の権利の基本原理:一般的枠組 |
| はじめに |
1 . 背景
ヨーロッパにおいて患者の権利を練り上げ実現するという運動を引き起こしてきたのは、社会的、経済的、文化的、倫理的、政策的な発展であった。患者の権利に関しては新しくより積極的な概念が主張されてきている。ある意味では、これは、個人を尊重するという概念の完全な実現と、保健の政策目的としての衡平という二つの中心的な課題を反映してきたものだった。その結果、現在では個人の選択を尊重し、それが自由に実践できる機会を設けること、そしてケアの質を保証するメカニズムを作り上げることが、いっそう強調されるに至っている。
ヘルスケアシステムにおける発展がその複雑さをいっそう増していること、医療行為がますます危険で、多くのケースではより非人格的で人間性を欠き、しばしば官僚的にもなっているということ、医療保健の科学と技術におけるさらなる進歩のによって、個人の自己決定権を認めることの重要性、それにしばしばその他の患者の権利の保障を明示的に規定することの必要性があらためて強調されてきた。
また、国連憲章において、参加諸国家が基本的人権の遵守を再確認した1945年以来、世界において人権運動がその重要性を増してきている。これには、1948年12月10日の世界人権宣言、1950年11月4日の人権に関するヨーロッパ会議の調印が続いた。
各国政府はこれらの問題に対してますます積極的な認識をするようになってきている。世界保健機関のヨーロッパにおける患者の権利の研究により、多くの国で共通の原理が採用されているという傾向が増しており、それは国それぞれの保健システムの特徴とは無関係と思われることが明らかになった。この政策傾向に更なるはずみをつけるにはちょうどよい時期である。
このドキュメントは、今も発展しつつある概念を正確に反映し、将来ヘルスケアを供給する場合に関係のある、一連の患者の権利を規定しようとするものである。
これらのヨーロッパにおける患者の権利の原則は、患者の権利について研究発表している先陣達の業績に十分な配慮をした上で提案された。しかしながら、これらの内早い時期の試みの多くは、特定の集団に向けられたり、ヘルスケアにおける特定の行為に関するものであったり、ヘルスケア提供者やヘルスケア施設の義務と責任の視点から患者の権利にアプローチするというものであった。本テキストは、これらの問題をヘルスケアにおけるユーザー及びパートナーとしての患者の視点からあらゆる様々な形式で改めて捉えなおそうとした結果、まとめられたものである。特定のグループの状況や図式的な例示に触れることをなるべく避けて、一般的な言葉で表現されてきたものである。しかしながら、このような一般的な解説は、特定の国においても、あるいはその他の特定のシチュエーションにおいても、患者の権利を推進し、保障しようとする際に採用されるべき基本的な原理や概念を包含していると思われる。本テキストは、直接にはその執行の問題をカバーしていない、なぜなら執行の問題は各々の国や状況ごとに異なるからである。しかしながら、各国では、これらのガイドラインをその国の特別な必要性や状況に適するように練り直すことができるはずだという信念のもとに提案されたているのである。 |
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指 導 原 理
このテキストでは、ヘルスケアという概念は、世界保健集会の「すべての人に健康を」(HFA)という原則に由来しており、アルマ・アタ宣言によって明らかにされたヘルスケアのモデルに基づいている。つまり、ヘルスケアとは、健康の推進と予防、疾病の予防、検査、処置、ケアおよびリハビリテーション等まで網羅する、幅の広いサービスすべてを含むものである。したがって、患者は広くバラエティーにとんだヘルスケア提供者と接することになり、病気で誰かに頼らざるを得ない人間から、自己管理のための健康商品を手に入れようとする消費者や顧客に対するアドバイスを受けるクライアントに至るまで、さまざまな役割を演じることになる。そのうえ、ここで演じる患者は、健康状態が非常に優れている人から、生涯にわたる障害を抱えている人、末期的な状態にある人までその健康状態もさまざまだ。
患者の権利を取り扱う際には、社会的な権利と個人的な権利とが区別されなければならない。ヘルスケアにおける社会的な権利は、すべての国民にヘルスケアを合理的に提供するために、政府及びその他の公的あるいは私的な組織によって採用されあるいは施行されている社会的責任如何に左右される。利用可能なサービスの量と種類、技術の洗練と専門分化の程度に関して、何が合理的かは、政策的、社会的、文化的、経済的な要因に左右されるものである。また社会的な権利は、ある国またはその領土に住んでいるすべての人が平等にアクセスできるか、経済的、地理的、文化的、社会的、精神的な点からの不公正な差別の壁を排除できるか否かという問題とも関わるものである。
社会的な権利は総合的に享受されるものだし、当該社会がどの程度発展を遂げているかに左右されるものである。また、ある意味においては、ある社会においてどの分野の発展を優先させるかという政治的な判断に服するものでもある。
これに対して、患者の個人的な権利は抽象的な用語でより直接的に表され、適用される場合は個々の患者に効力を持つ。これらの権利は個人の完全性、プライバシー、宗教的な確信といった分野をカバーするものである。このテキストは社会的な権利についても触れてはいるが、個人的な権利を中心的な主題とするものである。患者の権利をこのように取り扱うための基本概念は、そのほとんどが人権や自由に関するいくつもの国際的な宣言に基づいている。この宣言は新たな権利を創設しようとするものではなく、患者とヘルスケアの領域に、既に知られている権利を、論理的で包括的な規定として、適用しようとするものである。同じような理由からこのテキストは一般的な権利や義務、責任については述べていない。それらは各国の成文法や判例法でカバーされている。
特定の患者の権利に関する例外や制限については更なる問題が生じる。大部分では、これらはテキストから除外されている。それは提案されている権利をできるだけ明らかにシンプルに表現するためである。だから、ここではまず権利が制限されるのはどんな場合課について明らかにしておく方がよい。通常、患者の権利に対する例外は法律上予定されている。これに関しては、患者が権利の制限を受けるのは、その制限が人権を侵害せず、法律に定められた手続に基づいている場合に限られる、というガイド的ルールが常に妥当する。これは、実際には、公序、公衆衛生あるいは他の人の人権を理由とする制限を意味する。
ある状況においては、患者の権利を制限するにあたり、第三者の利益を最優先すること(「義務の衝突」原理といわれている)が理由となっていることがある。たとえば患者の権利の無制限な適用は第三者に深刻な損害を与えるというものであり、ほかにはこのような損害を回避する方法はなく、権利の制限が損害を防ぐことが合理的に期待できるというものである。そのほか、患者に対する深刻な危害を避けることが目的である場合にも同様の正当化がされている(治療的な例外と呼ばれている)。このドキュメントは一般的な原則を述べるものであるので、患者の権利に対するこれらの例外的な制限の多くは含まれていない。 |
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このドキュメントの目的
この「ヨーロッパにおける患者の権利の原則」は、本会議を構成する多数の国家が一層患者の権利の問題への関心を深めるようにとの考えで提案されている。このドキュメントは、ヘルスケアの増進だけではなく、自分たちの患者としての権利をより完全に理解したいという人々の熱望を反映し表現する方法を探ることを、目的としている。そうすることによって、患者のみならずヘルスケア提供者の視点も念頭に置いている。このことは権利と責任が補足的な性質をもっていることを暗示するものである。すなわち、患者は自分自身のセルフケアについてもヘルスケア提供者についても責任を負うものであり、ヘルスケア提供者も他のすべての人々と同じく人権擁護を享受している。このテキストでは、患者の権利を明示的に規定することによって、人々はヘルスケアを求め、受領し、あるいは供給する際において、より一層自分の責任を認識するようになり、このことは患者と提供者の間の相互的なサポートと尊重に特徴づけられる関係を確かなものとするということを基本的な前提として仮定している。
患者は、ヘルスシステムを最善に機能させるために実際的にどんな方法をとりうるか注意すべきである。患者が検査や治療の過程に積極的に参加することは、たいていはよいことであるし、時には不可欠でもある。検査や治療においては、患者が、担当の医療従事者に、必要なあらゆる情報を提供することが、常に重要である。患者は、患者と医療提供者との間の対話を誠実なものとする上で、医療提供者に相対する必要不可欠な役割を果たすのである。
実際、ヘルスケアの適切な供給に当たり、患者が果たす役割は強調されるべきである。今日のように、保健システムが複雑化し、その多くが総合的な経済的メカニズムによって支えられ、ヘルスケアに当てられる財源を経済的で衡平に利用することがヘルスプロフェッショナルと患者の共通の目的となっているような場合においては、ことにそうである。
また、患者の臨床教育への参加もその患者のインフォームド・コンセントに基づいたものでなければならないから、将来のプロフェッショナルの能力は、患者が研修過程に参加することに同意するか否かという事実にある程度依存することが認識されるべきである。 |
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実 行
各国が、それぞれ、患者の権利に関する現在の政策、実践及び法的援助を見直した上で、ここに記載されているようなドキュメントをどう利用するかは、各国の決定に委ねられる事項である。
表現を明確にするためにいくつかの提案はクリアカットな表現で記されてはいるが、このテキストは、カバーしているあらゆる問題に関する各国内部での政策討議や、場合によっては国家政策、法律及び公式声明の作成や改正の際に利用することができる一連のガイドラインとなっている。しかしながら、このドキュメントは、患者及びヘルスケアに参加する消費者の組織、医師その他のヘルスケア提供者による専門家の協会、そして病院その他のヘルスケア施設の協会のような、あらゆる当事者にとって、直接に有効なものとなることが望ましい。 |
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2.目的
以上のような背景を持つものではあるが、「ヨーロッパにおける患者の権利の原則」は、その内容から、次のような目的を持つドキュメントだということができる。 |
| − |
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ヘルスケアにおける基本的人権を再確認し、特に人間の尊厳と完全性を擁護し、患者を人間として尊敬することを推進すること |
| − |
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構成国家に対して、患者のケアについての政策を作ったり見直したりするときに利用できるような患者の権利の基礎にある一般的な原則を提供すること。 |
| − |
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患者がヘルスケアシステムによるサービスを利用することによる利益を完全に受け、そのシステムで経験するかもしれないいかなる問題についてもそれから被る結果を和らげるように援助すること |
| − |
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患者とヘルスケア提供者の間の有益な関係を推進支持し、特に患者がもっと積極的に参加するように呼び掛けること |
| − |
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患者組織、ヘルスケア提供者、保健省、そしてより広範な社会的勢力の間の対話を強めかつ新たな対話の機会を設けること |
| − |
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患者の権利の必要性の変化についての国家的、地域的、国際的な関心に焦点を合わせ、この領域でのより密接な国際的強力を促進すること |
| − |
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基本的な人権の擁護を保障し、子どもや精神病患者、老人や重篤な患者のようにもっとも傷つきやすい患者をはじめとするすべての患者に対する援助を人間的なものにすることを推進すること |
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3.基本概念
これらのヨーロッパにおける患者の権利に関する原則を提案するに当たり、以下の、患者の権利に適用される枠組と基本概念を提供している政府間の文書が考慮された。 |
| − |
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世界人権宣言(1948) |
| − |
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市民及び政治に関する権利についての国際規約(1966) |
| − |
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経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約(1966) |
| − |
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人権と基本的自由に関するヨーロッパ会議(1950) |
| − |
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ヨーロッパ社会憲章(1961) |
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| 患者の権利 |
1.保健医療における人権と価値
「はじめに」において引用された規範的文書は、保健医療の場面にも妥当するものとして理解されるべきであり、したがって、これらの文書において明らかにされている人間の価値は医療保障制度にも反映されるべきことが注意されなければならない。また、例外的な制限が患者の権利に対して課される場合には、その制限は国際的人権規範(human
rights instruments)にしたがっていなければならず、かつその国の法律に根拠をもつものでなければならないことが注意されるべきである。更に、以下に明記される権利は、他者の健康及び権利に十分配慮した上で行使すべき責任を伴うものということができるだろう。 |
| 1.1 |
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すべて人は、人間として尊重される権利を有する。 |
| 1.2 |
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すべて人は、自己決定の権利を有する。 |
| 1.3 |
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すべて人は、身体及び精神の不可侵性の権利及び身体の安全を保障される権利を有する。 |
| 1.4 |
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すべて人は、プライバシーを尊重される権利を有する。 |
| 1.5 |
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すべて人は、その道徳的及び文化的価値観、並びに宗教的及び思想的信条を尊重される権利を有する。 |
| 1.6 |
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すべて人は、疾病の予防及び保健医療に対する適切な措置によって健康を保持される権利、および、達成可能な最高水準の健康を追求する機会をもつ権利を有する。 |
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| 2.情報 |
| 2.1 |
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保健医療サービス及びその最適な利用方法に関する情報は、関心を有する全ての人の利益のために、公けに利用可能にされるべきである。 |
| 2.2 |
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患者は、容体に関する医学的事実を含めた自己の健康状態、提案されている医療行為及びそれぞれの行為に伴いうる危険と利点、無治療の効果を含め提案されている行為に代わり得る方法、並びに診断、予後、治療の経過について、完全な情報を提供される権利を有する。 |
| 2.3 |
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情報は、その提供による明らかな積極的効果が何ら期待できず、その情報が患者に深刻な危害をもたらすと信ずるに足る合理的な理由があるときのみ、例外的に、患者に提供しないことが許される。 |
| 2.4 |
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情報は、それが提供されようとする患者の理解能力にふさわしい方法で伝達されなければならない。耳慣れない専門用語の使用は最小限にとどめられなければならない。患者が一般に用いられている言語を話せないときは、何らかの方法での通訳が提供されるべきである。 |
| 2.5 |
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患者は、明示的に要求したときには、知らされない権利を有する。 |
| 2.6 |
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患者は、誰であれ、自分に代わって情報を知らされる者を選任する権利を有する。 |
| 2.7 |
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患者はセカンド・オピニオンを得る可能性を有するべきである。 |
| 2.8 |
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保健医療施設に入院した場合には、患者は、自己の治療にあたる保健医療専門職員の氏名及びその専門的地位について、また自己の滞在とケアに適用される規則ときまりについて情報を提供されるべきである。 |
| 2.9 |
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患者は、保健医療施設を退院する場合には、自己の診断、治療及びケアに関する書面による要約を要求することができ、かつこれを交付されるべきである。 |
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| 3.コンセント |
| 3.1 |
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患者によるインフォームド・コンセントは、あらゆる医療行為にあたって事前に必要とされる。 |
| 3.2 |
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患者は、医療行為を拒否し、または中止させる権利を有する。そのような医療行為の拒否あるいは中止の結果生じうる事態については、患者に対し慎重な説明がなされなければならない。 |
| 3.3 |
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患者が自己の意思を表明することができず、かつ医療行為が緊急に必要であるときは、その患者のコンセントがあったものと見なすことができる。ただし事前の意思の表明により当該状況下においてコンセントをしないことが明らかなときはこのかぎりでない。 |
| 3.4 |
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法定代理人のコンセントが必要であり、かつ提供されようとする医療行為が緊急に必要にもかかわらず代理人のコンセントを即時に得ることが不可能なときは、その治療を実施することが許される。 |
| 3.5 |
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法定代理人のコンセントが必要な場合であっても、患者は(未成年であると成年であるとを間わず)その能力が許すかぎり意思決定の過程に関与させられなければならない。 |
| 3.6 |
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法定代理人がコンセントを与えることを拒否し、かつ医師その他の提供者がその医療行為が患者の利益となるとの意見である場合には、その決定は裁判所もしくは何らかの仲裁機関に付託されなければならない。 |
| 3.7 |
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患者がインフォームド・コンセントを与えることができず、しかも法定代理人も、患者がこの目的のために選任した代理人もない場合には、明らかとなっていること及び患者の望みであると推定されうることを最大限に考慮した上で、代わりの意思決定手続を提供するために適切な手段が講じられるべきである。 |
| 3.8 |
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患者のコンセントは人体のあらゆる組織の保存及び利用に当たっても必要である。現に当該患者に対する診断、治療及びケアが行われている過程の中で人体の組織が使われている場合には、コンセントがあると推定することが許される。 |
| 3.9 |
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患者のインフォームド・コンセントは、臨床教育に参加を求める際に必要とされる。 |
| 3.10 |
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患者のインフォームド・コンセントは、科学的研究への参加にあたり事前に必要とされる。あらゆる研究の実施要領は固有の倫理的な審査手続に付せられなければならない。このような研究は自己の意思を表明できない者に対して実施すべきではない。ただし、法定代理人のコンセントがあり、当該研究が当該患者の利益になると思われる場合はこの限りでない。
研究への参加が患者の利益になる場合という要件に対する例外として、無能力者が、何ら反対の意思を表明せず、研究による危険及び/あるいは負担が最小の場合で、その研究が重要な価値を持ち、かつ代替しうる手段が全くなく他の研究課題を流用できない場合には、その患者の健康に直接の利益とならない観察的研究に参加させることが許される。 |
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| 4.秘密保持とプライバシー |
| 4.1 |
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患者の健康状態、医学的な状況、診断、予後、治療その他の個人的性質にかかわる情報はすべて秘密にされるべきである。これは死後においても同じである。 |
| 4.2 |
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秘密にされるべき情報は、患者が明示的にコンセントを与えた場合もしくは法が明らかに規定している場合にのみ開示されうる。情報の開示が、当該患者の治療にかかわる他の医療提供者に対してなされる場合には、コンセントがあるものと推定される。 |
| 4.3 |
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患者を特定できるデータはすべて保護されなければならない。データの保護はその保管方法に応じて適切になされなければならない。同様に、それから個人を特定するデータを引き出しうる人体の組織も保護されなければならない。 |
| 4.4 |
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患者は、自己の医療記録や専門記録及び自己に対する診断、治療及びケアに付随するその他のファイルや記録にアクセスし、自己自身のファイル及び記録あるいはその一部についてコピーを受領する権利を有する。第三者に関するデータはアクセスの対象から除外される。 |
| 4.5 |
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患者は、自己に関する個人データ及び医療データについて、それが不正確、不完全、不明瞭だったり、古くなったり、診断や治療及びケアの目的と無関係である場合には、その訂正、補完、削除、明瞭化、更新を要求する権利を有する。 |
| 4.6 |
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患者がコンセントを与えていることに加え、その患者に対する診断、治療及びケアに必要なものとして正当化されうる場合でなければ、患者の私生活及び家庭生活への干渉は許されない。 |
| 4.7 |
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医療行為は個人のプライバシーを十分尊重した上でのみなしうる。これは医療行為には、その患者がコンセントを与え、もしくは要求した場合を除き、必要な者以外の立ち会いが許されないことを意味する。 |
| 4.8 |
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保健医療施設に入院した患者は、プライバシーを保障する物理的な設備を期待する権利を有する。医療提供者が身体に直接触れるケアを提供したり、検査や治療を実施しようとする場合には特にそうである。 |
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| 5.ケアとトリートメント |
| 5.1 |
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すべて人は、自己の健康の必要性に応じた保健医療を受ける権利を有する。これには予防的ケアや健康増進を目的とした活動も含まれる。サービスは継続的に利用でき、すべての者に公平にアクセス可能でなければならない。そして差別なく、その社会において利用できる経済的、人的、物的資源に応じて提供されなければならない。 |
| 5.2 |
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患者は、医療保障制度のあらゆる段階において、提供されるケアの範囲、質、機能を含むサービスの計画及び評価に関連する事項に関して、何らかの形での代表を送る集団的権利を有する。 |
| 5.3 |
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患者は高度な技術水準のみならず患者と保健医療提供者の間の人間的な関係に裏づけられる質のケアを受ける権利を有する。 |
| 5.4 |
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患者は、自己に対する診断、治療及びケアに関与しうるすべての医療提供者及び/あるいは施設の間の協力を含め、継続的なケアを受ける権利を有する。 |
| 5.5 |
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ある特定の治療の供給が限られていて、提供者が、それを受ける者を患者の中から選択しなければならない場合には、すべての患者が公正な選択手続によって選ばれなければならない。そのような選択は医療水準に基づいたものでなければならず、いかなる差別もあってはならない。 |
| 5.6 |
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患者は、医療保障制度の機構と両立する範囲内で、自己の医師その他の医療提供者及び保健医療施設を選択し、変更する権利を有する。 |
| 5.7 |
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保健医療施設にとどまる医学的な理由がもはやない患者は、他の施設に移され、あるいは自宅に送り返される前に十分な説明を受ける権利を有する。移送は、他の保健医療施設がその患者を受け入れることに同意した後にのみ可能である。患者が自宅に帰される場合、その患者の状態を考えてそれが必要であるときには在宅サービスが利用できなければならない。 |
| 5.8 |
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患者は、自己に対する診断、治療及びケアにおいて、尊厳をもって扱われる権利を有する。これは患者の文化や価値観を尊重してなされなければならない。 |
| 5.9 |
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患者は、ケア及び治療の過程において、家族、親戚、友人からの援助を受け、いつでも精神的な支援と指導を受ける権利を有する。 |
| 5.10 |
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患者は現在の知見に応じて、苦痛を軽減される権利を有する。 |
| 5.11 |
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患者は人間的なターミナルケアを受け、尊厳ある死を迎える権利を有する。 |
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| 6.適用 |
| 6.1 |
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この文書によって明らかにされた権利の行使のためには、この目的のための適当な手段が確立されるべきである。 |
| 6.2 |
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これらの権利の享受は、差別なく保障されるべきである。 |
| 6.3 |
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これらの権利を行使するに当たり、患者は、国際的人権規範に適合し、かつ、法定の手続にしたがった制限にのみ服する。 |
| 6.4 |
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患者がこの文書で明らかにされた権利を自ら行使しえない場合には、これらの権利は、法定代理人、もしくはその目的のために患者から選任された代理人によって行使される。法定代理人も個人的な代理人もいない場合には、患者を代表する他の手段が講じられるべきである。 |
| 6.5 |
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患者は、この文書に明らかにされている権利の行使を可能にするような情報や助言にアクセスできなければならない。患者が自己の権利が尊重されていないと感じる場合には、苦情申立ができなければならない。裁判所の救済手続に加えて、苦情を申し立て、仲裁し、裁定する手続を可能にするような、その施設内での、あるいはそれ以外のレベルでの独立した機構が形成されるべきである。これらの機構は、患者がいつでも苦情申立手続に関する情報を利用でき、また独立した役職の者がいて患者がどういう方法を採るのが最も適切か相談できるようなものであることが望ましい。これらの機構は更に、必要な場合には、患者を援助し代理することが可能となるようなものにすべきである。患者は、自分の苦情について、徹底的に、公正に、効果的に、そして迅速に調査され、処理され、その結果について情報を提供される権利を有する。 |
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7.定 義
このヨーロッパにおける患者の権利の原則においては、次の用語は以下の意味で使われている。 |
| 患者 |
: |
健康であるか病気であるかを問わず、保健医療サービスの利用者 |
| 差別 |
: |
人種、性別、宗教、政治信条、国籍及び社会的出身、少数民族や個人的反感との関連で類型的になされる人相互間の区別 |
| 保健医療 |
: |
医療、看護その他の医療提供者及び保健医療施設によって実施されるサービス |
| 医療提供者 |
: |
医師、看護婦、歯科医その他の医療専門職員 |
| 保健医療行為 |
: |
あらゆる診断、治療、その他診断的、治療的、リハビリ的な目的を持ち、医師その他の保健医療提供者により行われる行為 |
| 保健医療施設 |
: |
病院、ナーシングホーム、障害者のための施設などあらゆる保健医療機関 |
| ターミナルケア |
: |
もはや利用可能な治療方法によってはその病気や状態の重大な予後を改善することが不可能な場合に提供されるケア、並びに死に際するケア。 |
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